タイの定番、鶏肉のココナッツスープ「トムカーガイ」。ガランガル(カー)とレモングラス、こぶみかんの葉の香りに、ライムの酸味とナンプラーの塩気が絶妙。ココナッツミルクを煮立てないコツをおさえれば、35分でお店の味になります。
トムカーガイ(ต้มข่าไก่)は、タイの定番の鶏肉ココナッツスープです。名前は「カー(ガランガル)で煮た鶏」という意味で、ガランガル、レモングラス、こぶみかんの葉の香りをまとった乳白色のスープに、ライム果汁とナンプラーで酸味と塩気をきかせ、仕上げにパクチーをたっぷりのせます。トムヤムクンと同じ香味野菜を使いながら、チリペーストと強い酸味辛味のかわりにココナッツミルクのまろやかさが主役の、いわばトムヤムのやさしい兄弟のような存在。夕方が涼しくなってくる季節にぴったりの一杯で、ガランガルと唐辛子で体が温まり、ココナッツのやさしいコクにほっとして、しかも下ごしらえから完成まで35分と、普段の煮込みスープより早くできあがります。
このレシピのポイントは3つ。ひとつ目は、香味野菜を先にスープと少量のココナッツミルクで5分煮出してから、残りのココナッツミルクを加えること。スライスが浮いているだけではなく、スープそのものにガランガルとレモングラスの香りが移ります。ふたつ目は、ココナッツミルクは最後に加えて弱火で温めるだけにし、決して強火で煮立てないこと。これで油分の分離やざらつきのない、なめらかで白いスープになります。タイ料理店のスープがきれいな乳白色なのはこのためです。3つ目は、ライム果汁を火を止めてから加えること。高温だと香りが飛んで酸味がぼやけるので、火を止めてから加えると鮮やかな酸味に仕上がります。薄切りにした鶏もも肉は弱めの火加減でしっとり、ふくろたけやひらたけはスポンジのようにスープを吸い込みます。
ガランガル、レモングラス、こぶみかんの葉は、アジア食材店や輸入食材店、通販で生や冷凍が手に入ります。冷凍品で十分おいしく作れるので、まとめて買って小分け冷凍しておくと、思い立ったときにすぐ作れて便利です。
材料
- 鶏もも肉(皮なし・骨なし) 500g(5mm厚さくらいの薄めの一口大に切る)
- ココナッツミルク 800ml(400ml缶×2・濃厚タイプ、添加物の少ないもの)
- 鶏がらスープ 400ml(顆粒の鶏がらスープの素を溶かしたものでOK)
- 生のガランガル(カー、冷凍でも可) 60g(約6cm・皮をむいて薄切り)
- レモングラス 2本(外側の固い皮を取り、たたいて5cm長さに切る)
- こぶみかんの葉(バイマックルー) 6枚(半分にちぎって中央の軸を取る)
- エシャロット(なければ小玉ねぎ) 2個(皮をむいて半分に切る)
- ふくろたけ(缶詰・水気を切る) 200g、またはひらたけ(手でほぐす)
- ミニトマト 100g(半分に切る・省略可、入れると彩りがよくなります)
- タイの生唐辛子(プリッキーヌ、なければ鷹の爪の生) 3〜5本(包丁の側面で軽くつぶす)
- ナンプラー 大さじ3
- パームシュガー(なければきび砂糖) 大さじ1
- ライム果汁 大さじ3(ライム約1個半分)
- パクチー 1束(ざく切り)
- ジャスミンライスのごはん 適量
作り方
- 香味野菜の下ごしらえをします。ガランガルはスプーンの縁かペティナイフで皮をむき、2mmほどの薄い輪切りにします。かたい根なので、紙のように薄く切らなくて大丈夫です。レモングラスは外側の皮をむいて淡い色の芯だけにし、包丁の背でたたいて香りを出してから5cm長さに切ります。こぶみかんの葉は半分にちぎり、中央の軸を取ります。エシャロットは半分に、唐辛子は軽くつぶしておきます。
- 鍋に鶏がらスープと、ココナッツミルクのうち缶の下のほうのさらっとした部分200mlを入れます。上のほうの濃いクリーム部分はあとで使うので残しておきます。ガランガル、レモングラス、こぶみかんの葉、エシャロットを加えて中火にかけ、静かに煮立ってきたら弱めの火加減で5分煮て、スープに香りを移します。ここが「タイの味」になるかどうかの分かれ目です。
- 鶏もも肉を加え、くっつかないようにほぐします。ふつふつと静かに沸く火加減を保ち、5〜6分、鶏肉の中まで白く火が通るまで煮ます。アクが浮いてきたら取ります。
- きのこ、唐辛子、ミニトマト(使う場合)を加え、さらに2〜3分、きのこが温まりトマトが少しやわらかくなるまで煮ます。トマトは煮崩れる前に止めてください。
- 残りのココナッツミルクを注ぎ、火を弱火にします。3〜4分、湯気が立ち、鍋のふちに小さな泡が出はじめるまで温めます。ぐらぐら沸騰させないのが最大のポイントです。ココナッツミルクは強火で煮立てると油分が分離してざらざらの粒になり、表面に油が浮いて、なめらかで白いスープの見た目も失われてしまいます。心配なら火をいちばん弱くして、少し長めに温めてください。
- 火を止めます。ナンプラーとパームシュガーを加え、砂糖が溶けるまで混ぜます。パームシュガーが固まりの場合は、刻んでおくか、少量の熱いスープで溶いてから戻すと早く溶けます。
- 火を止めたままライム果汁を加えて混ぜ、味見をします。塩気と酸味が同じくらい立ち、ほんのり甘みを感じ、あとからガランガルの香りが残るのが目安です。足りなければナンプラー、ライム果汁、砂糖を小さじ1ずつ加えて、そのたびに味見をしながら好みの味に整えてください。
- 鶏肉ときのこが均等に入るように器に盛り、パクチーを散らします。辛いものが好きな方は唐辛子の小口切りを足しても。熱いうちにジャスミンライスと一緒にどうぞ。ガランガル、レモングラス、こぶみかんの葉は香りづけのために入れたままにしますが、かたいので食べずによけてください。
コツ・ポイント
- ガランガルこそがトムカーガイの味の決め手です。アジア食材店や輸入食材店、通販で生や冷凍が手に入ります。乾燥スライスならぬるま湯に20分浸してから使ってください。しょうがはあくまで最後の手段で、使うなら量を半分にしてライムを少し多めに。ガランガル特有の柑橘や松のような香りはなくなり、少しぴりっとした温かみのある味になりますが、それでもおいしいココナッツスープになります。
- ふくろたけが手に入らなければ、エリンギ、しめじ、しいたけ、マッシュルームで代用できます。鶏むね肉でも作れますが、薄切りにして手順3で3〜4分だけ煮てください。もも肉のほうがしっとりして失敗しにくいです。えびに替えるなら、殻をむいたえびを手順4できのこと一緒に加え、丸まって赤くなるまで煮ます。
- ココナッツミルクは缶入りの濃厚タイプで、添加物の少ないものを選びましょう。ライトタイプだとスープが水っぽく香りも弱く、安定剤の多い製品は味がぼやけて口当たりが重くなります。缶は開ける前に振らず、上の濃いクリーム部分を手順5まで残し、さらっとした部分で香味野菜を煮ると、いちばんなめらかで奥行きのある味になります。
- 辛みと色を足したいときは、できあがったスープにタイのチリペースト(ナムプリックパオ)を小さじ1混ぜるか、器ごとにラー油をひとさじ落としてください。表面にきれいな赤い油が浮きます。
- 日持ちは冷蔵で3日ほど。温め直すときも弱火で沸騰させないようにし、食べる直前にライムを絞ってパクチーを足すと風味がよみがえります。冷凍はココナッツミルクが分離するのであまり向きませんが、1か月以内なら温めながらよく混ぜれば食べられます。作り置きするなら、香味野菜をスープで煮出す手順2までを前日に済ませ、翌日に鶏肉とココナッツミルクを加えるのがおすすめです。
- 献立は、ジャスミンライスにガパオ(鶏ひき肉のバジル炒め)や空心菜のにんにく炒めなど、シンプルな炒めものを添えれば、主菜・副菜・スープがそろいます。ソムタム(青パパイヤのサラダ)と合わせて、タイ料理コースの一品目にするのも素敵です。
栄養情報
栄養情報は目安です:1人分あたり約580kcal、たんぱく質28g、脂質46g、炭水化物14g(ごはんを除く)。
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