モロッコの家庭の定番スープ「ハリラ」。トマトベースにひよこ豆、レンズ豆、少量のラム肉、たっぷりのパクチーとパセリを煮込み、仕上げに小麦粉の水溶きでとろみをつけてレモンをひと搾り。6人分、鍋ひとつで主食になる一皿です。

準備時間: 20分調理時間: 1時間合計時間: 1時間20分人数: 6人分難易度: 簡単

ハリラ(Harira/حريرة)は、モロッコで最も日常的なスープです。とろみのあるトマトスープに、ひよこ豆、レンズ豆、少量のラム肉、大量のパクチーとパセリを入れ、ジンジャー、ターメリック、シナモン、黒こしょうで香りをつけます。ラマダンの断食明けに最初に口にするスープとして知られていますが、モロッコの家庭では涼しい夜にはいつでも登場する料理で、まさに秋の献立にぴったり。鍋ひとつ、材料はほとんど常備品、そして一杯で立派な一食になります。

このレシピのポイントは3つ。肉は小さめに切って最初に焼き色をつけるので、何時間も煮込まなくてもスープにコクが出ます。トマトとトマトペーストは水を入れる前にスパイスと一緒にしっかり炒めて色を濃くします。これで薄いピンク色ではなく、深いレンガ色のスープになります。そして仕上げのタドゥイラ(tadouira)と呼ばれる工程では、小麦粉を冷水で溶いたものを混ぜながら加えます。これでスープがなめらかで少しつやのある口当たりになり、普通のレンズ豆スープとは違う「ハリラらしさ」が生まれます。最後のレモン汁で全体の味がぐっと引き締まります。

材料

スープ

  • ラム肩肉または牛肩ロース(骨なし) 250g(1.5cm角に切る。省略可、ベジタリアン向けの代用はコツ参照)
  • オリーブオイル 大さじ2
  • 玉ねぎ 大1個(約200g、みじん切り)
  • セロリ 2本(葉ごとみじん切り)
  • パクチー 1束(約30g、みじん切りにして茎と葉を分けておく)
  • イタリアンパセリ 1束(約30g、みじん切り)
  • ジンジャーパウダー 小さじ1
  • ターメリック 小さじ1
  • シナモンパウダー 小さじ1/2
  • 黒こしょう(粗挽き) 小さじ1、塩 小さじ1と1/2(仕上げに味をみて調整)
  • カットトマト缶 400g(または完熟トマト大4個をすりおろす)
  • トマトペースト 大さじ2
  • レンズ豆(皮つきの茶色または緑) 150g(洗う)
  • ひよこ豆の水煮 400g缶(汁を切って洗う。正味約240g)
  • 水または薄めの鶏がらスープ 1.5L

仕上げ(タドゥイラ)

  • 薄力粉 50g+冷水 250ml(よく溶き合わせる)
  • 細めのそうめんまたはカッペリーニ 50g(2cm長さに折る。省略可)
  • レモン 1個分の果汁、別に添える用のくし切りレモン

作り方

  1. 厚手の大きな鍋にオリーブオイルを入れて中火強で熱し、ラム肉を入れて4〜5分焼きます。ときどき混ぜながら、ほとんどの面に焼き色がつくまで。中まで火を通す必要はなく、あとで煮込みます。肉から水分が出たら、水分が飛んでから焼き続けると色がつきやすいです。
  2. 火を中火に落とし、玉ねぎとセロリを加えて5分、しんなりして透き通るまで炒めます。玉ねぎから出る水分で鍋底の焼き目をこそげ落とすようにすると、うま味が残らずスープに移ります。
  3. パクチーの茎、パセリの半量、ジンジャー、ターメリック、シナモン、黒こしょう、塩を加えて混ぜながら1分炒めます。スパイスの香りが立ち、玉ねぎ全体にからめばOKです。
  4. カットトマトとトマトペーストを加え、頻繫に混ぜながら5〜6分炒めます。水分が飛んで濃くなり、色が深いレンガ色に変わり、鍋のふちに赤い油がにじみ出てくるまでが目安です。
  5. レンズ豆、ひよこ豆、水を加えます。一度沸騰させたら弱火にし、ふたをして40分煮込みます。レンズ豆がやわらかく、肉がほろっと崩れるくらいになれば十分です。最初の10分でアクが出たら取り除き、途中で1〜2回鍋底から混ぜて豆が沈んで焦げつかないようにします。40分たったらレンズ豆をひと粒食べてみて、まだ固ければさらに10分煮てください。
  6. 煮込んでいる間に、ボウルか瓶で薄力粉と冷水をダマがなくなるまでよく混ぜます。ダマが残る場合は細かいざるでこしてください。使う直前にもう一度混ぜます。
  7. ふたを外して中火にし、スープが静かに沸いている状態にします。溶いた小麦粉を細く、ゆっくり注ぎ入れながら絶えず混ぜます。そのまま10分ほど混ぜ続けると、スプーンの背にまとわりつく程度のなめらかなとろみがつきます。焦げつかないように鍋底をこまめにこそげてください。
  8. そうめんを入れる場合はここで加え、4〜5分やわらかくなるまで煮ます。濃すぎると感じたら熱湯100〜200mlを足して調整します。ハリラは濃厚ですが、注げる程度のとろみが理想です。冷めるとさらに固まるので、少しゆるめで止めておくと安心です。そうめんの代わりに米大さじ2を加えて10分煮る作り方もあり、より腹持ちがよくなります。
  9. 火を止めてレモン汁、パクチーの葉、残りのパセリを混ぜ込みます。ハーブは必ず最後に加えてください。長く煮ると色が黒ずみ、香りも飛んでしまいます。味をみて塩・こしょうで調えます。豆は塩を吸うので、小さじ1/2ほど足すことが多いです。
  10. ふたをして5分ほど落ち着かせ、味をなじませてから熱いうちに器に盛ります。パクチーを少し散らし、くし切りレモンを添えて、好みでさらに搾りながら召し上がってください。

コツ・ポイント

  • ベジタリアン向けの作り方:ラム肉を省き、ひよこ豆をもう1缶(またはレンズ豆を75g)増やして、水の代わりに野菜ブイヨンを使います。玉ねぎを少し長めに炒めて甘みを出すとコクが補えます。モロッコの家庭でも平日はこの作り方が多いです。
  • 日本で手に入る代用品:ラム肉が手に入らなければ牛こま切れ肉や牛すね肉で十分です。イタリアンパセリは普通のパセリ、パクチーが苦手なら三つ葉やセロリの葉を増やしても。レンズ豆は輸入食材店や大型スーパーの乾物コーナーにあり、ない場合は皮なしのレンズ豆(赤)でも作れますが、煮崩れやすいので煮込み時間を30分に短縮してください。
  • タドゥイラがダマになるのは、一気に入れたか、スープが動いていないときだけです。細く注ぐ、ずっと混ぜる、静かに沸いた状態を保つ、の3点を守れば失敗しません。溶いた粉に温かいスープを大さじ1〜2先に混ぜてから鍋に戻すと、さらに安心です。
  • 日持ちと作り置き:ハリラは一晩おくと味がなじんでさらにおいしくなります。冷蔵で4日、冷凍で3か月保存できます。そうめんは伸びるので、冷凍する分には入れないのがおすすめ。温め直すときは少量の水を足して弱火でゆっくりのばし、最後にレモンとハーブを新たに加えてください。冷凍したものは前日に冷蔵庫へ移して解凍してから温めると、底だけ焦げる失敗がありません。
  • 献立の組み立て:本場ではデーツと「シェバキア」というごまの揚げ菓子、それにパンを添えて食べます。バゲットや全粒粉パンを浸して食べるだけでも十分満足感があり、クミンと塩をふったゆで卵を添えれば立派な夕食になります。和食の献立に組み込むなら、ごはんに合わせてカレーのように食べても違和感がなく、きゅうりとトマトのシンプルなサラダを添えるとさっぱりします。
  • 辛味が好きな方はスパイスと一緒にカイエンペッパー小さじ1/2を加えるか、食べるときにハリッサを添えて。おもてなしのときは、サフランひとつまみを大さじ2のぬるま湯で戻し、水と一緒に加えると香りが格上げされます。酸味の強いトマト缶を使った場合は、仕上げに砂糖小さじ1を加えると味が丸くなります。

栄養情報

栄養情報は目安です:1人分あたり約320kcal(カロリー)、たんぱく質18g、脂質9g、炭水化物42g(ラム肉とそうめんを含む)。

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