牛肩ロースをかたまりで焼きつけ、玉ねぎ・にんじん・セロリ、赤ワイン、トマト、ローズマリーと一緒に低温のオーブンで3時間。フォークでほぐれるまで煮込んだ牛肉を幅広パスタのパッパルデッレとパルミジャーノにからめる、秋の週末にぴったりの6人分レシピです。
ラグー・ディ・マンゾ・コン・パッパルデッレ(Ragù di manzo con pappardelle)は、秋のトスカーナのトラットリアで定番の一皿です。牛肩ロースを大きなかたまりのまましっかり焼きつけ、玉ねぎ・にんじん・セロリを炒めたソッフリット、赤ワイン、トマト、ローリエ、ローズマリーと一緒に、肉がソースの中でくずれるまで何時間も煮込みます。ひき肉ではなく煮込んだ肉をほぐして使うので、幅広のパッパルデッレの一本一本に、細かいそぼろではなく牛肉の繊維がからみます。どんよりした週末の午後、オーブンにこの鍋が入っている以上の幸せはなかなかありません。
トラットリアの味に近づけるポイントは3つです。まず、牛肉は大きく切って、数回に分けて、表面に濃い焼き色がつくまで焼きつけること。この焼き色がソースの深いうま味の大部分を作ります。次に、ソッフリットは甘みが出るまでじっくり炒めてからトマトペーストとワインを加え、ワインは生のアルコール臭が消えるまで煮詰めること。最後に、ふたをして低温のオーブンに入れること。コンロの直火よりずっと均一に火が入り、3時間ほぼ放っておけます。仕上げはパスタとソース、ゆで汁少々、パルミジャーノを鍋の中であえて、ソースが麺にぴたりとまとわりつくようにします。
難易度は「普通」ですが、技術が難しいのではなく、待つ時間が長いだけです。うれしいのは、ラグーは1〜2日前に作っておけること。食べる日はパスタをゆでるだけで済みます。
材料
- 牛肩ロースかたまり肉(骨なし) 1.2kg(大きな脂を取り除き、5cm角に切る)
- 塩 小さじ1と1/2、黒こしょう 小さじ1/2(仕上げに味をみて追加)
- オリーブオイル 大さじ3
- 玉ねぎ 大1個(約200g、細かい角切り)
- にんじん 中2本(約150g、細かい角切り)
- セロリ 2本(約100g、細かい角切り)
- にんにく 3片(みじん切り)
- トマトペースト 大さじ2
- 辛口の赤ワイン 250ml(キャンティなどサンジョヴェーゼ系がおすすめ)
- ホールトマト缶 800g(2缶。汁ごと手でつぶす)
- ビーフブイヨン(ビーフコンソメを溶いたもの) 250ml
- ローリエ 2枚
- フレッシュローズマリー 2枝、仕上げ用に刻んだ葉 小さじ1
- パッパルデッレ(乾麺) 500g、または生パスタ600g
- パルミジャーノ・レッジャーノ 60g(細かくすりおろす。食卓用に追加も用意)
- 無塩バター 30g(省略可、あえるときに使う)
作り方
- オーブンを150℃に予熱します。牛肉はペーパータオルで水気を完全に拭き取り、全体に塩・こしょうをまぶします。厚手の鍋(ル・クルーゼやストウブのような鋳物鍋が理想)にオリーブオイル大さじ2を入れ、中火強で表面がゆらゆらするまで熱します。
- 牛肉を2回に分け、肉同士が触れないように並べて焼きます。片面3〜4分ずつ、少なくとも2面に濃い焼き色がつくまで、1回あたり8分ほど。肉が乾いているほど、鍋が熱いほど、動かさないほどきれいな焼き色がつきます。ここは急がないでください。焼けたら皿に取り出します。
- 火を中火に落とし、残りのオリーブオイル大さじ1、玉ねぎ、にんじん、セロリを加えます。頻繫に混ぜながら8〜10分、野菜がやわらかくなり、ふちが色づき始めるまで炒めます。にんにくを加えて1分、続いてトマトペーストを加えて2分、色が鮮やかな赤からレンガ色に変わるまで炒めます。
- 赤ワインを注ぎ、木べらで鍋底の焼きついたうま味をこそげ落とします。3〜4分煮て、ワインが半量ほどに煮詰まり、刺すようなアルコールの匂いが消えるまで待ちます。
- つぶしたトマトを汁ごと、ブイヨン、ローリエ、ローズマリーの枝を加え、牛肉を皿にたまった肉汁ごと鍋に戻します。液体が肉をぎりぎり覆うくらいが目安で、足りなければブイヨンを少し足します。静かに沸くまで加熱します。
- ふたをしっかり閉め、鍋ごとオーブンに入れて2時間30分〜3時間煮込みます。途中1回だけ全体を混ぜてください。フォークが抵抗なくすっと入り、肉が自然にほぐれ始めたら完成です。オーブンがない場合はコンロの最弱火で、ふたを少しずらして、30〜45分ごとに鍋底から混ぜてください。
- ローリエとローズマリーの枝を取り出します。鍋の中でフォーク2本を使い、牛肉をひと口大の繊維状にほぐします。ソースが薄いと感じたら、ふたを外して中火で10〜15分、混ぜながらスプーンにまとわりつく濃さまで煮詰めます。塩・こしょうで味を調えます。
- 大きな鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩をしっかり入れて(薄い海水くらい)パッパルデッレを袋の表示より1分短くゆでます(生パスタは2〜3分)。ざるに上げる前にゆで汁を250mlすくっておきます。
- パスタをゆでた鍋に戻して弱火にかけ、ラグーの約3分の2、バター、ゆで汁少々を加えます。1〜2分あえながら、必要に応じてゆで汁を足し、ソースがつやを帯びて麺にしっかりからむまで混ぜます。パルミジャーノの半量を混ぜ込みます。
- 温めた皿に盛り分け、残りのラグーを上からかけ、残りのパルミジャーノ、刻んだローズマリー、黒こしょうをふってすぐに食卓へ。パッパルデッレは時間がたつとソースを吸ってしまうので、あえたらすぐが一番おいしいです。
コツ・ポイント
- 肉の選び方と日本での代用:牛肩ロースは脂とゼラチン質が溶けてソースに溶け込むので最適です。スーパーで手に入る「牛すね肉」「牛バラかたまり」「カレー・シチュー用の角切り肉」でも同じ時間で作れます。すね肉は特にほぐれやすくおすすめ。ヒレやランプのような赤身は、いくら煮てもかたく筋っぽくなるので避けてください。
- 赤ワインがなければブイヨンを250ml増やし、バルサミコ酢大さじ1で酸味を補います。パッパルデッレが手に入らないときはタリアテッレやフェットチーネ、またはリガトーニやパッケリのような太めのショートパスタで。スパゲッティのような細い麺はこの重いソースに負けてしまいます。幅広のきしめんでも意外なほどよく合います。
- 作り置きと日持ち:ラグーは翌日のほうがおいしくなります。冷ましてから冷蔵で4日、小分けにして冷凍で3か月保存できます。温め直すときは鍋に移し、水かブイヨンを少し足して弱火でゆっくり。パスタは必ず食べる直前にゆでてください。ソースとあえたパスタの冷凍はおすすめしません。
- 献立の組み立て:レモンのビネグレットであえたグリーンサラダで口をさっぱりさせ、皿に残ったソースをぬぐうバゲット、そして料理に使った赤ワインを添えれば完成です。余ったラグーはやわらかいポレンタにかけたり、ベイクドポテトに詰めたり、ラザニアに重ねたりと使い道が多いです。
- スロークッカーや圧力鍋を使う場合:工程5まで進めてから、スロークッカーなら弱で8時間、圧力鍋なら高圧55分で自然放置。どちらもソースがやや薄めに仕上がるので、ほぐす前にふたを外して15分ほど煮詰めてください。
- ソースをよりまろやかにしたいときは、ほぐした肉に牛乳または生クリーム60mlを加えて5分煮ます。ボロネーゼの手法で、トマトの酸味を丸くしてくれます。ローズマリーの香りを強めたければ、仕上げに新しい枝を熱いソースの中で数回ゆらしてから取り出します。
栄養情報
栄養情報は目安です:1人分あたり約680kcal(カロリー)、たんぱく質48g、脂質24g、炭水化物62g。
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