メキシコの定番家庭料理ティンガ・デ・ポヨは、ゆでてほぐした鶏肉を、焼きトマト・玉ねぎ・にんにく・チポトレ(燻製唐辛子のアドボ漬け)のソースで煮込んだもの。温めたコーントルティーヤにのせ、クレマ、フレッシュチーズ、アボカド、玉ねぎ、パクチーをトッピング。50分で12個分、作り置きにも向きます。
ティンガ・デ・ポヨ(tinga de pollo、チキンティンガ)は、メキシコで毎日のように食卓に上る家庭料理です。鶏肉をやわらかくゆでてほぐし、焼いたトマト、薄切りの玉ねぎ、にんにく、そしてチポトレ(燻製した唐辛子をアドボソースに漬けた缶詰)で作ったソースで煮込みます。チポトレの辛さはツンとくる辛さではなく、深みのあるスモーキーな辛さで、ソースが鶏肉の繊維一本一本にまとわりつきます。温めたコーントルティーヤにのせ、ひんやりしたクレマ(メキシコのサワークリーム)、塩気のあるフレッシュチーズ、アボカド、生の玉ねぎ、パクチーを添えれば、夜が涼しくなってくる季節にちょうどいい、香ばしくて体の温まるタコスになります。材料費も手ごろで、一度に12個分作れます。
このレシピのポイントは3つ。1つ目は、鶏肉を軽く味付けした水でゆでること。しっとりしてほぐしやすく、ソースをのばすための旨みのあるスープも1カップとれます。2つ目は、トマトとにんにくを油をひかないフライパン(またはオーブンのグリル機能)で皮が黒く焦げるまで焼くこと。甘みと少しの苦みが加わり、チポトレの燻製香を引き立てます。3つ目は、玉ねぎをソースとは別に、先にきつね色になるまで炒めること。ミキサーでペーストにせず後から加えることで、仕上がりの中でも玉ねぎがとろりとした食感を保ちます。
鶏肉の具は前日に作っておけて、温め直すとむしろおいしくなるので、人が集まる日の夕食にも向いています。トルティーヤを温め、トッピングを並べて、各自で好きなように巻いて食べるスタイルがおすすめです。
材料
鶏肉とソース
- 鶏もも肉(皮なし・骨なし) 600g(むね肉でも可)
- 水 750ml
- 玉ねぎ(大) 1個。半分に切り、片方はそのままゆで用、もう片方は薄切りにする
- にんにく 3片。1片は皮をむいてゆで用、2片は皮付きのまま焼き用
- ローリエ 1枚
- 塩 小さじ1と1/2(分けて使う。仕上げに味をみて追加)
- 完熟トマト 500g(中4個ほど)。または焼きトマト(ファイヤーローステッド)の缶詰 400g 1缶
- チポトレのアドボ漬け 3本と、缶のアドボソース 大さじ2(辛さ控えめなら唐辛子は2本)
- メキシカンオレガノ(乾燥) 小さじ1(なければ普通のオレガノ)
- クミンパウダー 小さじ1/2
- サラダ油 大さじ2
- 砂糖 小さじ1(トマトの酸味をととのえる用。省略可)
タコスとトッピング
- コーントルティーヤ(直径15cm) 12枚
- クレマ(メキシカンサワークリーム)またはサワークリーム 120ml
- ケソフレスコ(メキシコのフレッシュチーズ) 100g。手で崩す。なければフェタチーズやカッテージチーズ
- アボカド 1個(完熟、スライス)
- 玉ねぎ(小) 1/2個(みじん切り)
- パクチーの葉 ひとつかみ
- ライム 2個(くし形に切る)
作り方
- 中サイズの鍋に鶏肉、玉ねぎ半分(そのまま)、皮をむいたにんにく1片、ローリエ、塩小さじ1を入れ、水を注ぎます。沸騰させたら火を弱め、静かにふつふつする火加減で15〜18分、鶏肉に火が通るまでゆでます(最も厚い部分の中心温度74℃、切って赤みがなければOK)。鶏肉を皿に取り出し、ゆで汁は250mlを取り分けておきます。触れる温度になったら、フォーク2本で粗くほぐします。
- 鶏肉をゆでている間に、油をひかない鉄のフライパンまたは厚手のフライパンを強火で熱します。トマトを丸ごとと、皮付きのにんにく2片を入れ、トングで転がしながら8〜10分焼きます。トマトの皮が所々黒く焦げ、果肉がやわらかくなるまでが目安です。にんにくは5分ほどで焼けるので先に取り出し、冷めたら皮をむきます。オーブンのグリル機能で、天板にのせて8分焼いてもかまいません。
- 焼いたトマト(皮ごと)、皮をむいた焼きにんにく、チポトレ、アドボソース、オレガノ、クミン、取り分けたゆで汁250mlをミキサーに入れ、完全になめらかになるまで1分ほど回します。
- 大きめのフライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、薄切りの玉ねぎを加えます。頻繁に混ぜながら6〜8分、やわらかくなって縁がきつね色になるまで炒めます。ここで出る甘みがソースの土台になるので、急がずじっくり炒めてください。
- ミキサーのソースを注ぎ入れます(はねるので少し離れて注いでください)。煮立ったら中火のまま、時々混ぜながら8〜10分煮ます。色がれんが色に深まり、スプーンで底をなでると跡が残るくらいまで煮詰まれば十分です。
- ほぐした鶏肉と残りの塩小さじ1/2を加えて混ぜ、5分ほど煮て鶏肉にソースを吸わせます。ソースがまとわりつくけれど、汁気が多すぎない状態が目標です。味をみて、トマトの酸味が強ければ砂糖を加え、塩気が足りなければ塩で調えます。
- トルティーヤを温めます。油をひかないフライパンを中強火で熱し、1枚ずつ片面30〜45秒ずつ、しなやかになって薄い焼き色が点々とつくまで焼きます。焼けたものは清潔なふきんに包んで重ね、温かくやわらかい状態を保ちます。
- 仕上げに、トルティーヤ1枚につきティンガを大さじ3ほどのせます。クレマをかけ、崩したケソフレスコ、アボカド1〜2枚、玉ねぎのみじん切り、パクチーをトッピング。ライムを絞ってすぐに召し上がってください。1人3個が目安です。
コツ・ポイント
- 代用品と時短:市販のローストチキンやサラダチキン400gをほぐし、市販のチキンスープ250mlを使えば工程1を省けます。焼きトマトの缶詰があれば工程2も省略できます。チポトレのアドボ漬けは輸入食材店や通販で手に入りますが、ない場合はトマトペースト大さじ1、スモークパプリカ小さじ1、一味唐辛子または粉唐辛子小さじ1/2を加えてください。まったく同じではありませんが、燻製の香りと辛さの方向性は再現できます。
- 辛さの調整:まずチポトレ2本で作り、仕上げに味をみて足りなければ3本目を加えます。燻製の香りの大半はアドボソースにあるので、辛さ控えめにする場合でもソース大さじ2は残してください。お子さん向けなら唐辛子1本でも十分風味が出ます。
- 日持ち・作り置き:鶏肉の具は冷蔵で4日、冷凍で3か月保存できます。温め直すときはフライパンに入れ、水かスープを少し足して中火で湯気が立つまで温めてください。翌日のほうが味がなじんでおいしくなります。トッピングは食べる直前に用意し、アボカドはライムを少し絞っておくと変色しにくくなります。
- 献立のヒント:メキシカンライスとリフライドビーンズ(黒豆のペースト)を添えれば立派な一皿になります。さっぱりさせたいなら、キャベツの千切りにライムを絞った即席スローがよく合います。同じティンガを、揚げ焼きしたトルティーヤ(トスターダ)にのせたり、パンに挟んでトルタにしたり、ごはんにのせて丼にしても定番のおいしさです。
- コーントルティーヤは冷たいと折ったときに割れるので、必ず温めてから使ってください。具の汁気が多いときは1個につき2枚重ねにすると破れません。フラワートルティーヤしかなければそれでも作れますし、なければ薄く焼いたお好み焼き粉の生地や春巻きの皮を軽く焼いたものでも、雰囲気は十分楽しめます。
- ソースに奥行きを出したいときは、工程3でシナモンパウダー小さじ1/2かクローブをひとつまみ加えてみてください。プエブラ地方の作り方でよく見られる隠し味です。残ったゆで汁は冷凍しておけば、次にスープや麺を作るときに使えます。
栄養情報
栄養情報は目安です:1人分(タコス3個、トッピング込み)あたり約520kcal、たんぱく質38g、脂質22g、炭水化物45g。
材料をタップしてチェック
更新日




