ギリシャの定番家庭料理アヴゴレモノは、鶏もも肉でとったスープでお米を煮て、レモン汁を混ぜた卵を熱いスープで少しずつ温めながら加えるだけ。生クリームなしでとろりとなめらか、酸味がさわやかで体の芯から温まります。ディルと黒こしょうを効かせて1時間以内に完成です。

準備時間: 15分調理時間: 40分合計時間: 55分人数: 4人分難易度: 簡単

アヴゴレモノ(αυγολέμονο、avgolemono。ギリシャ語で「アヴゴ」は卵、「レモノ」はレモンの意味です)は、ギリシャで最もよく作られる家庭のスープです。あっさりした鶏のスープにお米とほぐした鶏肉を入れ、生クリームも小麦粉も使わずに、レモン汁と混ぜた卵だけでとろみをつけます。仕上がりはなめらかで酸味がさわやか、それでいて体の芯から温まる味わい。ギリシャでは肌寒い夜や風邪のひき始めに真っ先に作られるスープで、こっくりしすぎない温かい一品がほしい秋にぴったりです。ひと口目にレモンの香り、続いて鶏のだしとお米のやさしい甘み、最後に黒こしょうとディルの余韻が残ります。

このレシピのポイントは3つあります。1つ目は、骨付きの鶏もも肉をゆでてスープをとること。30分弱でしっかりとだしが出て、ほぐした肉もしっとりしています。むね肉より煮込みに向いています(市販のスープとサラダチキンを使う時短版はコツの欄で紹介します)。2つ目は、お米をスープの中で直接煮ること。米のでんぷんが先にスープに軽いとろみをつけ、卵を加えたときにも分離しにくくなります。3つ目が最も大切で、卵は必ず「温度合わせ」をすること。熱いスープをおたま1杯ずつ卵液に混ぜ込んで徐々に温めてから鍋に戻し、その後は絶対に沸騰させません。これを守れば、卵がそぼろ状にならず、ベルベットのようになめらかなスープになります。

仕上げに粗びき黒こしょうをたっぷりと、フレッシュなディルを散らして、カリッと焼いたパンと一緒にどうぞ。下ごしらえから完成まで1時間以内、家にある材料だけで作れて、材料費も手ごろです。

材料

  • 鶏もも肉(骨付き・皮なし) 600g(約4本。骨付きもも肉が手に入らなければ手羽元でも)
  • 冷水 1.5L
  • 玉ねぎ 1個(中サイズ、皮をむいて半分に切る)
  • セロリ 2本(大きめのざく切り)
  • にんじん 1本(大きめのざく切り)
  • ローリエ 2枚
  • 塩 小さじ1と1/2(仕上げに味をみて追加)
  • 長粒米 120g(洗って水気を切る。またはオルゾ 120g)
  • エクストラバージンオリーブオイル 大さじ2
  • 卵(Lサイズ) 3個(冷蔵庫から出して室温に戻す)
  • レモン果汁 80ml(レモン約2個分、絞りたて)。添え用にくし形のレモンも用意
  • ディル(生) 大さじ3(みじん切り、飾り用に少し残す)
  • 黒こしょう(粗びき) 小さじ1/2(仕上げ用にも適量)
  • 時短版:最初の7つの材料の代わりに、良質な鶏がらスープ 1.2Lとほぐしたローストチキンまたはサラダチキン 300g

作り方

  1. 大きめの鍋に鶏もも肉、玉ねぎ、セロリ、にんじん、ローリエ、塩を入れ、冷水を注ぎます。強火で沸騰させてアクを取り、火を弱めてふたを少しずらし、表面がふつふつする程度の弱火で20〜25分静かに煮ます。鶏肉に火が通り、骨からすっと外れるようになれば十分です。強火でぐらぐら煮るとスープが濁るので、弱火を守ってください。
  2. 鶏肉を取り出して皿にのせ、粗熱をとります。スープは目の細かいざるでこし、野菜とローリエを取り除いて鍋に戻します。量は約1.2Lが目安なので、足りなければ湯を足してください。鶏肉は骨と軟骨を外し、手か2本のフォークで食べやすい大きさにほぐします。
  3. スープを再び沸騰させ、米を加えて鍋底にくっつかないように混ぜます。弱火にしてふたをせず、途中で1〜2回混ぜながら15〜18分、米がやわらかくなりスープに軽いとろみがつくまで煮ます。オルゾの場合は8〜10分で十分です。
  4. ほぐした鶏肉とオリーブオイルを加え、2分ほど煮て温めます。火を止め、2〜3分おいてぐつぐつが完全に収まるのを待ちます。次の工程で必要なのは「熱いけれど沸騰していない」スープで、これが卵を固まらせない第一の保険になります。
  5. 待っている間に、耐熱のボウルに卵を割り入れ、1分ほど泡立て器でしっかり混ぜます。白っぽくなって表面に細かい泡が立ったら、レモン果汁を加えて混ぜます。ここでよく泡立てておくと、仕上がりがよりなめらかになります。
  6. 卵の温度合わせをします。片手で絶えず泡立て器を動かしながら、もう片方の手でおたま1杯(約120ml)の熱いスープを、細く糸のように垂らしながら卵液に加えます。これをさらに3回、1杯ずつ、そのたびに混ぜ切ってから繰り返し、ボウルが温かくなり、卵液がゆるいカスタードのようになるまで続けます。急いで注ぐと卵がその場で固まってしまうので、ゆっくりが鉄則です。
  7. 鍋のスープをかき混ぜながら、温度合わせした卵液をゆっくり注ぎ戻します。鍋をごく弱火にかけ、1〜2分やさしく混ぜて、スープが少しとろりとしてクリーム色になり、スプーンで混ぜた跡がうっすら残るくらいになったら火を止めます。絶対に沸騰させないでください。沸くと卵が固まって、かきたま汁のようになってしまいます。
  8. 味をみて塩と黒こしょうで調えます。はっきりレモンの酸味を感じるくらいがおいしいので、物足りなければレモンをもう少し絞ってください。ディルを混ぜ込んで器に盛り、ディルと黒こしょうを追加で散らし、くし形レモンを添えて熱いうちにどうぞ。

コツ・ポイント

  • 代用品:お米の代わりにオルゾ(ギリシャではクリサラキ)を使うのも本場流です。オルゾが手に入らなければ、日本のお米(うるち米)でも、細かく折ったそうめんや小粒のマカロニでも作れます。時短版なら工程1と2を省き、工程3で市販の鶏がらスープ1.2Lを沸かし、工程4でほぐしたローストチキンやサラダチキン300gを加えてください。骨なしの鶏もも肉なら、ゆで時間は15分で十分です。
  • 卵を固まらせない3つの約束:卵は室温に戻す、温度合わせは焦らない、鍋に戻したあとはごく弱火だけ。鍋に戻す前にボウルがしっかり温かくなっていることを確かめてください。万一、卵が少し糸状になってしまっても、ハンドブレンダーで数秒回せばなめらかに戻ります。より濃厚にしたい場合は、全卵2個+卵黄2個で作ってみてください。
  • 日持ち・作り置き:冷蔵で3日保存できます。ただし米がスープを吸ってどんどん濃くなるので、温め直すときはスープか水を少し足し、弱火でかき混ぜながらゆっくり温めてください。沸騰と電子レンジの強加熱は厳禁です。卵を入れた完成品は解凍時に分離するため冷凍には向きません。作り置きするなら工程4までのスープ・米・鶏肉を冷凍(3か月)しておき、食べるときに解凍して温め、卵を新たに合わせれば作りたてと変わらない味になります。
  • 献立のヒント:カリッと焼いたバゲットや温めたピタパンをスープに浸して食べるのが定番。オリーブとフェタチーズの小皿、トマトときゅうりのギリシャ風サラダを添えれば、それだけで軽めの夕食になります。ラム肉のローストやレモンポテト、白身魚のグリルの前菜スープとしても上品です。
  • レモンは必ず絞りたてを使ってください。市販のレモン果汁だと香りがぼんやりし、苦みも出ます。酸味をもっと効かせたいときは最後に大さじ2までレモン汁を追加し、器ごとにレモンの皮を少しすりおろすと香りが引き立ちます。ディルが手に入らなければ、パセリや細ねぎの小口切りでも、風味は変わりますがさっぱり仕上がります。
  • 具を増やしたいときは、工程3で米と一緒に細かく刻んだにんじん1本とセロリ1/2本を加えるか、仕上げにベビーほうれん草をひとつかみ混ぜ込むと、野菜がとれてスープのなめらかさも損ないません。

栄養情報

栄養情報は目安です:1人分あたり約390kcal、たんぱく質33g、脂質17g、炭水化物25g。

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