英国の家庭料理シェパーズパイの基本レシピ。ラムひき肉を玉ねぎ・にんじん・セロリ、トマトペースト、ウスターソース、赤ワイン、タイムと煮込み、バターと牛乳で作ったマッシュポテトをのせて、フォークで筋をつけてこんがり焼き上げます。6人分、作り置きにも。
シェパーズパイ(Shepherd's Pie)は、イギリスを代表する家庭のあたたまる一皿です。玉ねぎ・にんじん・セロリ・タイムと一緒にじっくり煮込んだラムのひき肉に、厚くマッシュポテトをかぶせ、表面の筋がカリッと黄金色になるまでオーブンで焼きます。ひとつ用語の整理をしておくと、ラム(羊)で作るのがシェパーズパイ(羊飼いのパイ)、同じ作り方で牛ひき肉を使うとコテージパイと呼ばれます。どちらにしても、日が短くなって冷え込む秋の夜にぴったりで、耐熱皿ひとつで6人がしっかり満足できます。
おいしいシェパーズパイと、灰色で水っぽいものとの差は3つのポイントにあります。ひとつ目は、ひき肉を2回に分けて強火でしっかり焼き色をつけ、余分な脂を捨てること。香ばしさが出て、しかも脂っこくなりません。ふたつ目は、トマトペースト、ウスターソース、少しの赤ワインを加えて、スプーンで筋が引けるくらいまで煮詰めること。ゆるいフィリングは焼いている間にマッシュポテトの上まで吹き上がり、表面がべたついてしまいます。みっつ目は、粉質のじゃがいもにたっぷりのバターと温めた牛乳を加えて、フォークの跡が残るくらい固めに仕上げ、数分冷ましたフィリングの上にのせること。こうするとマッシュポテトが沈まず、きれいな層になります。
前日に組み立てて冷蔵しておき、食べるときに焼くだけにできるので、忙しい平日にも、ゆっくり過ごす日曜日にも使える便利な主菜です。
材料
ラムのフィリング
- オリーブオイル 大さじ1
- ラムひき肉 750g(脂肪分15〜20%程度のもの)
- 玉ねぎ(大) 1個(みじん切り)
- にんじん(中) 2本(約200g、1cm角に切る)
- セロリ 2本(細かい角切り)
- にんにく 3片(みじん切り)
- トマトペースト 大さじ2
- 薄力粉 大さじ1
- 辛口の赤ワイン 150ml(なければ同量のスープ)
- ラムまたはビーフのスープ(固形ブイヨンを溶いたもので可) 400ml
- ウスターソース 大さじ2
- ドライタイム 小さじ1(またはフレッシュタイム3枝)
- ローリエ 1枚
- 冷凍グリーンピース 150g
- 塩、粗びき黒こしょう 適量
マッシュポテト
- じゃがいも(男爵いもなど粉質のもの) 1.2kg(皮をむいて4cm角に切る)
- 無塩バター 75g
- 牛乳 100ml(温めておく)
- チェダーチーズ(熟成タイプ) 75g(すりおろす、省略可)
- ナツメグ ひとつまみ(省略可)
作り方
- まずじゃがいもをゆでます。大きな鍋に入れ、3cmほどかぶるくらいの冷水と塩ひとつまみ多めを加えて火にかけ、沸騰したら15〜18分、ナイフがすっと通るまでゆでます。しっかり湯を切り、鍋に戻して最弱火で2分ほど水気を飛ばします。ここで水分を飛ばすと、水っぽくないマッシュポテトになります。
- じゃがいもをなめらかにつぶし、バター、温めた牛乳、塩ひとつまみ多め、こしょう、あればナツメグを加えて混ぜます。牛乳は少しずつ加え、スプーンにのせても形が保てる固さで止めてください。ふたをして置いておきます。
- じゃがいもをゆでている間に、広口の大きなフライパンでオリーブオイルを強火で熱します。ひき肉の半量を入れ、2分はそのまま触らず、それからほぐしながら合計5〜6分、濃い焼き色がついて縁がカリッとするまで焼きます。ボウルに取り出し、残りも同様に焼きます。フライパンの脂は大さじ1程度を残して捨てます。
- 中火に落とし、同じフライパンに玉ねぎ、にんじん、セロリ、塩ひとつまみを入れ、ときどき混ぜながら8〜10分、しんなりして縁が薄く色づくまで炒めます。にんにくを加えて1分、トマトペーストを加えてさらに1分、色が少し濃くなるまで炒めます。
- ひき肉を戻し入れ、薄力粉をふって1分混ぜて全体にまぶします。赤ワインを注ぎ、鍋底をこそげながら2分ほど煮立てて、ほぼ蒸発するまで煮詰めます。
- スープ、ウスターソース、タイム、ローリエを加えます。煮立ったら弱めの中火にし、ふたをせずに20〜25分、ときどき混ぜながら煮込みます。ソースがとろりとつやよく煮詰まり、スプーンで底をなぞると跡がゆっくり戻るくらいが目安です。グリーンピースを混ぜ、ローリエを取り除き、塩・こしょうでしっかり味を調えます。
- オーブンを200℃に予熱します。フィリングを容量2リットルほどの耐熱皿(約23×30cm)に移し、5分ほど冷まして表面を少し落ち着かせます。
- マッシュポテトをスプーンで縁から中央に向かって落としていき、やさしく広げて皿の縁まで届かせ、フィリングを封じ込めます。フォークで表面に筋をつけると、焼いたときにカリッとした部分ができます。チーズを使う場合はここで散らします。
- 25〜30分、表面が黄金色になり縁からソースがふつふつと吹くまで焼きます。さらに濃い焼き色をつけたい場合は、最後にグリル(上火)で2〜3分。オーブンから出したら10分休ませてから取り分けると、フィリングが落ち着いてきれいに切り分けられます。
コツ・ポイント
- 代用について:牛ひき肉に替えればコテージパイになり、作り方はまったく同じです。ラムと牛の合いびきにすると香りがやわらぎ、ラムが苦手な人も食べやすくなります。日本のスーパーではラムひき肉が見つからないこともあるので、ラム肩肉の薄切りを包丁でたたいて粗いひき肉にするか、輸入食材店や通販で冷凍のものを探してください。赤ワインを使わない場合は、スープを150ml増やしてバルサミコ酢小さじ1で酸味を補います。ウスターソースは日本の中濃ソースでも代用できますが、甘みが強いので量を大さじ1と1/2に減らしてください。
- 日持ち・作り置き:組み立てまで済ませて冷まし、ラップをして冷蔵で2日保存できます。冷蔵庫から出してそのまま190℃のオーブンで40〜45分焼いてください。丸ごと、または1人分ずつ冷凍もでき、3か月保存可能。焼く前に冷蔵庫で一晩解凍します。食べ残しは冷蔵で3日。温め直しは180℃のオーブンで20分、最初の10分はアルミホイルをかぶせるとしっとり仕上がります。
- 献立の組み合わせ:バターで和えたグリーンピースやいんげん、紫キャベツの蒸し煮、または蒸した青菜にレモンを絞ったものがよく合います。ピクルスの小玉ねぎやブラウンソースを添えると、ぐっとイギリスらしくなります。飲み物は赤ワインかエールビールを。
- じゃがいもの品種選びが大切です。男爵いもやキタアカリなどの粉質のものは、ゆでるとほろほろと崩れ、軽くふわっとしたマッシュになって焼き色もきれいにつきます。メークインなどの粘質のものはつぶすと粘りが出て、オーブンでもあまり色づきません。
- 煮込み終わってフィリングがまだゆるいようなら、さらに煮詰めてください。ゆるいフィリングは、取り分けたときにパイが崩れてしまう最大の原因です。逆に煮詰まりすぎて乾いてきたら、スープを少し足してのばします。
- フォークで筋をつけるのは見た目のためだけではありません。山の部分はカリッと焼け、谷の部分はやわらかいまま残るので、ひと口ごとに2つの食感が楽しめます。焼く前に溶かしバターを少し塗ると、さらにきれいな黄金色になります。
栄養情報
栄養情報はあくまで目安です:1人分あたり約700kcal(カロリー)、たんぱく質30g、脂質42g、炭水化物42g。
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